アンサンブル

ヒンデミット:4本のホルンのためのソナタ/ジャパン・ホルン・クァルテット(2008)
CD(MEISTER MUSIC MM−2016)

ヒンデミット:4本のホルンのためのソナタ●
    ジャパン・ホルン・クァルテット
1.モーツァルト/歌劇「後宮よりの誘拐」序曲
           (小林健太郎編)
2.ターナー/ホルン四重奏曲第3番
3.リュトゲン/ホルン四重奏曲Op19
4.ヒンデミット/4本のホルンのためのソナタ
5.小林健太郎/ホルン四重奏曲第3番
          「新たなる旅立ちの時」
  ジャパン・ホルン・クァルテット
   山岸 博(ホルン)(読響首席)
   久永 重明(ホルン)(読響首席)
   西條 貴人(ホルン)(東京都響首席)
   上間 善之(ホルン)(東京響首席)
    録音 2008年3月17&18日
      千葉/君津市民文化ホール

  ジャパン・ホルン・クァルテットの第3弾。メンバーが一色から上間に代わりました。
  1曲目の「後宮よりの誘拐」はモーツァルトの名序曲で、4本のホルンで吹くというのはどうかと思うほどの重い曲ですが小林健太郎の編曲は、ホルンで吹くには恐ろしいほどの仕上がりになりました。この曲には多くの装飾音がありますので演奏はきついでしょう。テンポの速い部分と中間部の遅い部分がありますが、張り詰めた雰囲気の中間部は素晴らしいもので驚愕です。
  ターナーのホルン四重奏曲第3番は1992年の作品。4つの楽章で構成され、第1楽章「スーナー(Sooners)」は開拓時代のアメリカ人の忙しそうなイメージを感じさせる細かいフレーズの連続です。息をつけるのかと思うほど忙しいです。第2楽章「ホーム・ステッダーズ(入植者たち)」も西部開拓時代をテーマにしたもので、緩やかな楽章は静けさや雄大さを感じます。美しい和音の連続。第3楽章「ゴーストタウン・パレード」はアメリカらしい表題です。騎馬隊の行列を思わせる行進曲です。遠くからやってくるように始まるのですが演奏は難しいでしょう。第4楽章「フィナーレ」は4本のホルンが追いかけるフレーズがまるで1本のホルンでメロディを吹くかのような効果を生んでいて面白いです。
  リュトゲンは19世紀ドイツの作曲家で、この四重奏曲は大変きれいなロマン情緒漂う作品。4つの楽章から構成されていて第4楽章の「アラ・ポラッカ」はホルンで吹くのが楽しくてしょうがないほどきれいな曲です。
  ヒンデミットの4本のホルンのためのソナタはCDの時代になってから盛んに演奏されるようになりました。3つの楽章ともに音程の難しい作品で4本のホルンが息のあった時に素晴らしい響きが生まれます。この演奏も素晴らしいアンサンブルです。難しい音程もものともせず吹き上げる4人に脱帽です。
  小林健太郎(1981〜)のホルン四重奏曲第3番「新たなる旅立ちの時」はジャパン・ホルン・クァルテットの委嘱作品。まさに新たなる旅立ちに相応しい曲です。今後さかんに演奏されそうな予感がします。3つの楽章で構成され、ホルンの魅力をふんだんに引き出した第1楽章は細かいフレーズが多く驚きの演奏です。第2楽章「アンダンテ」は郷愁を感じさせます。第3楽章は「冒険」がテーマで明るい響きの和音が聞かれます。また名曲名演が誕生しました。


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