ボザのホルン作品

森にて/大野 雄太(2007)
CD(AMD HR-80228)

7人のホルン奏者によるソロ曲集
1.ボザ/森にて
  大野 雄太(ホルン)
  九里由紀子(ピアノ)
2.モーツァルト/ロンド変ホ長調K371
   村中 美菜(ホルン)林 浩子(ピアノ)
3.F・シュトラウス/夜想曲Op7
  岩佐 朋彦(ホルン)林 浩子(ピアノ)
4.プラネル/レジェンド(伝説)
   石川 善男(ホルン)大堀晴津子(ピアノ)
5.デュカス/ヴィラネル
  下田 太郎(ホルン)宮内 里恵(ピアノ)
6.ノイリンク/バガテル
  古江 仁美(ホルン)遠藤 直子(ピアノ)
7.ボザ/山の頂で
  阿部 麿(ホルン)遠藤 直子(ピアノ)
   録音 2007年6月13日
       ゆめりあホール

 日本の若手ホルン奏者を紹介する企画のアルバム第1集です。現在各方面で活躍中の皆さんや将来を嘱望されるみなさんの演奏です。
 ボザの「森にて」を吹いている大野雄太は山形大卒、東京芸大大学院卒、岡本和也、守山光三、水野信行の各氏に師事。2005年の日本音楽コンクールで第1位受賞。2010年第1回日本ホルンコンクール第1位。新日本フィルハーモニーを経て、現在東京交響楽団首席ホルン奏者。「森にて」の演奏は低音から高音までよどみのない見事な演奏で、強弱のメリハリをつけた申し分ないものです。ゲシュトップの音色もきれいです。
  モーツァルトの「ロンド変ホ長調」を吹く村中美菜は武蔵野音大卒、田中正大、今井仁志、丸山勉の各氏に師事。2008年の日本音楽コンクール入選。日本フィルハーモニー交響楽団及びホルン・アンサンブル・ヴィーナスのメンバー。ロンドの演奏はまろやかな響きのホルンでモーツァルトのメロディーをきれいなレガートです。前半提示部の後にカデンツァを入れています。展開部の滑らかな響きは素晴らしく再現部もきれいです。カデンツァもきれいです。
  フランツ・シュトラウスの「ノクターン」を吹いている岩佐朋彦は武蔵野音大卒業後ハンガリーのリスト音楽院に留学、ホルンを小沢千尋、田中正大、ラースロー・シーマン、アダム・フリードリヒに師事。2005年の日本音楽コンクール入選。「ノクターン」の演奏は冒頭の甘い響きから素晴らしい響きのホルンです。低音もきれいです。中間部のアップテンポでは力強い響きを出しています。
  ロベール・プラネルの「レジェンド(伝説)」を吹いている石川善男は東京音大卒、日高剛、水野信行、守山光三、澤 敦の各氏に師事。第23回日本管打楽器コンクール第2位、2008年の日本音楽コンクール入選。ズーラシアン・ブラスのメンバー。プラネルの「レジェンド」は録音のほとんどない作品です。戦後の作品と思われますが魅力的な曲で、時にゲシュトップを使いますがほとんど開放でロマン的な作品です。
  デュカスの「ヴィラネル」を吹いている下田太郎は沖縄県出身、東京コンセルヴァトワール尚美卒、黒澤勝義、大野良雄、澤 敦、山岸博の各氏に師事。第67回日本音楽コンクール第3位。神奈川フィルハーモニー契約団員。ヴィラネルの演奏は堅実そのもの、かれた音色のホルンですが優れた演奏であり高音から低音まで安定した音色です。
   ノイリンクのバガテルを吹いている古江仁美は神奈川県出身、桐朋学園大学卒、上原宏、山岸博、飯笹浩二、日高剛の各氏に師事。フリーランサーとして活動中。バガテルは阿部雅人が2009年に録音しているだけの珍しい作品ですが、低音ホルンのための作品ということで録音されないというのが真実のようです。古江の演奏は阿部の演奏よりも低音に迫力を感じます。男性的なこの作品を真正面から取り組んだ演奏で頭が下がります。低音の充実した演奏には脱帽です。
  ボザの「山の頂で」を吹いている阿部麿は千葉県出身。国立音大及び桐朋学園音大卒。安原正幸、山岸博、猶井正幸、水野信行の各氏に師事。2002年の日本音楽コンクールで第1位受賞。サイトウキネン・オーケストラメンバーです。「山の頂で」は「森にて」ほど演奏されませんが魅力あふれる作品です。他にペーター・ダムと日高剛の録音があります。作風は「森にて」によく似ています。阿部の演奏はカンタービレの美しさと速いフレーズの勢いのあル演奏、メリハリをつけた見事な演奏が素晴らしい。この作品の魅力を教えてくれる演奏といえましょう。


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