プーランク/エレジー

サボルチ・ゼンプレーニ(2010)
CD(OEHMS CLASSICS OC 789)

カラーズ・オブ・フレンチ・ホルン
1.R・シュトラウス/アンダンテ
2.シューマン/3つのロマンスOp94
3.  〃   /アダージョとアレグロOp70
4.ロッシーニ/前奏曲、主題と変奏曲ホ長調
5.フランセ/ディヴェルティメント
6.プーランク/エレジー
       〜デニス・ブレインの思い出に
7.キルヒナー/3つのポエム

  サボルチ・ゼンプレーニ(ホルン)
  ペーター・ナジ(ピアノ)
  録音 2010年3月20〜24日
   フランツ・リスト音楽院大ホール

 サボルチ・ゼンプレーニは2005年のミュンヘン国際コンクールで優勝したハンガリーのホルン奏者、フェレンツ・タルヤーニに師事しました。現在バンベルク交響楽団のソロ・ホルン奏者です。来日でも素晴らしい演奏で聴衆を魅了しています。
 プログラムはいずれもなじみ深い曲です。R・シュトラウスの「アンダンテ」は冒頭を飾るに相応しい曲で朗々としたホルンがホールに響き渡ります。
シューマンの「3つのロマンスOp94」はオーボエのための作品ですが、ホルンで演奏するとイメージが変わります。他にパーヴィスの録音があります。ゼンプレーニのロマンティックな演奏は聴き応えがあります。「アダージョとアレグロ」はホルンの定番曲でありながらかなりの難曲です。アダージョの表情豊かな演奏、アレグロの力強い演奏は時にヴィブラートをきかせて実に見事な演奏です。
 ロッシーニの「前奏曲、主題と変奏曲」はやや速いテンポの変奏曲の演奏で巧みなテクニックを披露しています。オペラ作曲家ロッシーニの豊かなメロディが魅力的なこの作品にまた名演が生まれています。
 フランセの「ディヴェルティメント」は第1曲:序奏(アレグロ)でみせる勢いのある演奏が素晴らしい。強弱をはっきりさせています。第2曲:アリア・ディ・カンタービレ(アンダンテ)の優雅な演奏、第3曲:カンツォネッタ(アレグロ・ジュスト)の楽しそうな演奏も魅力です。
 プーランクの「エレジー」はデニス・ブレインを追悼しての作品です。激しい序奏と哀悼の歌の後半になりますが、このゼンプレーニの演奏はホルンの美しい音色をホール一杯に響かせており、改めて名曲だと思います。
 キルヒナーの「3つのポエム」は様々な手法を要求される作品ですが、ゼンプレーニの腕の見せ所です。29歳の演奏ですがもうすでに完璧な技法の持ち主ということがわかります。プログラムの最後においたこの「3つのポエム」は奥深いホルンの魅力を教えてくれる名作です。


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