ダンツィのホルン作品

ホルン・ソナタ第1番/野田 篁一(2009)
CD(自主制作 Cono011〜012)

ドイツのホルン・ソナタ集
1.ヒンデミット/ホルン・ソナタ ヘ長調(1939)
2.ハース/ホルン・ソナタ ヘ長調Op29
3.ラインベルガー/ホルン・ソナタ変ホ長調Op178
4.ダンツィ/ホルン・ソナタ第1番変ホ長調Op28
5.ぺプシュ/ヴァイオリン・ソナタ第1番ハ長調
         (ホルン版)(M・ヘルツェル編)

  野田 篁一(ホルン
  平井 令奈(ピアノ)
  録音 2009年9月1日(1&3)
      2009年12月12日(2、4&5)

  京都市交響楽団の首席奏者として活躍した野田 篁一が退任後に録音したドイツのホルン・ソナタ集です。
  ヒンデミットのホルン・ソナタは朗々と吹いており堅さを感じません。アクセントやスタッカートなどはっきりさせた第1楽章は見事な演奏です。第2楽章も流麗なホルンがきれいです。第3楽章は力強さがあふれる演奏で表情豊かなところも素晴らしい。
  ヨゼフ・ハース(1879〜1960)のホルン・ソナタは3つの楽章で21分を超える大曲です。第1楽章のアレグロ・マエストーソは長大な主題が聞かれます。後期ロマン派の作品のようにきれいなメロディが流れます。第2楽章のアレグレット・エ・トランクイロは穏やかな雰囲気のメロディが流れます。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・スピリットは速いテンポの軽快な主題が流れます。ハース独自の世界があります。演奏は素晴らしい。
  ラインベルガーのホルン・ソナタは数多く演奏されています。野田は第1楽章:コン・モトで冒頭の主題をゆったりと吹いており、どっしりと構えた演奏です。かつてない重みのある演奏といえそうです。第2楽章:クワジ・アダージョはゆったりとした主題を丁寧に吹いています。第3楽章:コン・フォコはこのソナタの特徴的な主題が冒頭から流れます。野田のホルンは力強く、ドイツで培われた音楽性を如実に表現した演奏といえましょう。
  フランツ・ダンツィ(1763〜1826)はベートーヴェンと同時代の作曲家です。ホルン・ソナタ第1番はナチュラルホルンのための作品でナチュラルホルンの録音もいくつかあります。モダンホルンで聞くととても美しい作品です。野田の流麗なホルンは新たな魅力を発見することでしょう。第3楽章では跳躍的な主題を見事に演奏しています。
  ヨハン・クリストフ・ぺプシュ(1667〜1752)はバロック時代のヴァイオリニストで作曲家です。ここではヴァイオリン・ソナタ第1番をミヒャエル・ヘルツェルがホルンのために編曲した楽譜を使用しています。大変易しい作品で、第1楽章:アダージョ、第2楽章:アレグロ、第3楽章:ラルゴ、第4楽章:アレグロと音域は中音域が多く演奏は難しくない作品です。バロック・ソナタだけにオルガン伴奏が合いそうな気がします。


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