ブラームス/ホルン三重奏曲

マイケル・ソーントン(2014)
CD(Albany TROY1616)

ホルン三重奏曲集
1.イウェイゼン/ホルン三重奏曲(2012)
2.ケロッグ/栄光の朝
3.ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調Op40

  マイケル・ソーントン(ホルン)
  ユミ・ファン=ウィリアムズ(ヴァイオリン)
  アンドリュー・リットン(ピアノ)
  録音 2014年12月17&18日

 コロラド交響楽団の首席ホルン奏者マイケル・ソーントンのアルバムです。ブラームスのホルン三重奏曲にインスパイアされた作品ということですが、ブラームスも演奏しています。(なお、リゲティのホルン三重奏曲はブラームスへ生誕150年のオマージュ(敬意)として作曲したものでした。)
 エリック・イウェイゼン(1954〜)はアメリカの作曲家です。ホルン三重奏曲は2012の作品です。作曲にあたってはブラームスの影響を受けているようで4つの楽章で構成されています。第1楽章「アンダンテ・テネラメンテ」、第2楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ(スケルツォ)」、第3楽章「アンダンテ・グラチオーソ」、第4楽章「マエストーソ、アレグロ・エネルジコ」となっていてブラームスと似たような作風になっています。作品自体後期ロマン派風のイメージが強く、21世紀の作品ながら19世紀を思わせる美しい作品です。第2楽章のスケルツォは親しみやすい主題が歌われます。第3楽章は極めてロマンティック、第4楽章は希望に満ちた序奏とエネルギッシュなアレグロに興奮させられます。
 ダニエル・ケロッグ(1976〜)の「栄光の朝」はソーントンの委嘱作品。「栄光の朝」はシェークスピアのソネット第33番を題材にしたものです。この作品もブラームスのホルン三重奏曲にインスパイア(触発)されて作曲したということです。ピアノパートに力強さを求めているようです。ホルンは強奏の連続です。
 ブラームスの「ホルン三重奏曲変ホ長調」は第1楽章「アンダンテ」の穏やかな演奏が魅力で、ホルンのレガートが実にきれいです。この作品の素晴らしさを示してくれます。第2楽章「スケルツォ」は軽快な演奏、しかも勢いがあります。リットンのピアノが力強いです。この楽章の緊張感は凄まじい。ホルンが追われているのではないかとさえ思うほどです。第3楽章「アダージョ・メスト」はかなり速めのテンポで進みます。この楽章ではピアノの響きが特徴的です。かつてこれほどピアノパートが前面に出た演奏は少ないでしょう。まさにピアノ・トリオです。第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」はスケルツォ同様勢いのある演奏です。ピアノには圧倒されそうですが、それに負けじとソーントーンのホルンが力強く響きます。久々に興奮させられた名演奏です。思わず拍手!!


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