ヴィヴァルディ/ホルン協奏曲

2本のホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲/アンネケ・スコット他
CD(AVIE AV2392)

ヴィヴァルディ/二重協奏曲集
1.2本のホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲
                ヘ長調RV.539
2.2本のオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲
                ニ短調RV.535
3.ヴァイオリン、チェロ、弦楽と通奏低音のための
               協奏曲イ長調RV.546
4.オーボエ、ファゴット、弦楽と通奏低音のための
               協奏曲ト長調RV.545
5.2本のホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲
               ヘ長調RV.538
6.ヴァイオリン、チェロ、弦楽と通奏低音のための
               協奏曲変ロ長調RV.547
7.2本のオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲
              イ短調RV.536
8.2本のホルン、2本のオーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、
   チェロ、弦楽と通奏低音のための協奏曲
  ヘ長調RV.574「S.A.S.I.S.P.G.M.D.G.S.M.B.のために」

エイドリアン・チャンドラー指揮&ヴァイオリン
ラ・セレニッシマ
アンネケ・スコット(ナチュラルホルン)(1、5&8)
ジョスリン・ライトフット(ナチュラルホルン)(1、5&8)
レイチェル・チャップリン(オーボエ)(2、4、7&8)
マーク・ベイジェント(オーボエ)(2、7&8)
ヴラディミール・ウォルサム(チェロ)(3、6&8)
ピーター・ウィーラン(ファゴット)(4&8)
録音 2018年2月12〜15日

 イギリスのピリオド楽器オーケストラによるヴィヴァルディの二重協奏曲集です。2本のホルン、2本のオーボエなどの作品です。
 2本のホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲ヘ長調RV539は2曲あるこの作品の1つです。古くから知られています。アンネケ・スコットとライトフットのホルンが良い響きです。ナチュラルホルンのハイトーンは自然倍音が使えますので音色がきれいです。第2楽章では通奏低音にテオルボが使われていますのでホルンとの掛け合いが魅力的です。2つのホルンの響きが素晴らしい。第3楽章のアレグロもよい響きのホルンが気持ちよく聞かれます。
 2本のオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ短調RV.535は4つの楽章で構成されています。短い第1楽章:ラルゴに続く第2楽章のアレグロはヴィヴァルディの明るい主題が流れます。第3楽章は再びラルゴ、哀愁的な主題が流れます。そして第4楽章のアレグロ・モルトはユニゾーンが厚く響いて軽快な主題が流れます。
 ヴァイオリン、チェロ、弦楽と通奏低音のための協奏曲イ長調RV.546は3つの楽章で構成されています。冒頭から弦楽の厚みのある演奏が聴かれます。弦楽合奏と通奏低音の素晴らしさがあります。
 オーボエ、ファゴット、弦楽と通奏低音のための協奏曲ト長調RV.545は3つの楽章で構成されています。通奏低音に使うことがあるファゴットが入ると響きに深みが出ます。オーボエが引き立ってきます。通奏低音のチェンバロがチャーミングです。テオルボも使われています。
 2本のホルン、弦楽と通奏低音のための協奏曲ヘ長調RV.538は2曲ある作品の1つです。第1楽章はやや速めのテンポで進みます。テオルボが入るので独特の響きになりますので現代楽器の演奏とは全く違う響きです。ホルンは自然倍音が多いので自然な音色です。第2楽章はホルンが抜けて通奏低音のチェロがソロを演奏しますのでテオルボとの絡みがまたきれいなものです。第3楽章はホルンの明るい響きとテオルボの重い響きが作り出す響きが面白いです。この作品の演奏の中でも特筆すべきものと言えます。これは名演です。
 ヴァイオリン、チェロ、弦楽と通奏低音のための協奏曲変ロ長調RV.547はヴィヴァルディらしい冒頭が「四季」を聴いているかのようです。弦楽作品の楽しさが随所に聴かれます。第2楽章では通奏低音のテオルボが響きます。
 2本のオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲イ短調RV.536は冒頭から軽快な主題が2本のオーボエで歌われます。ヴィヴァルディの2本のオーボエの作品の代表的な曲です。これは楽しい作品です。
 2本のホルン、2本のオーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、チェロ、弦楽と通奏低音のための協奏曲ヘ長調RV.574「S.A.S.I.S.P.G.M.D.G.S.M.B.のために」は二重協奏曲で使われているソロ楽器がすべてそろった協奏曲です。オーケストラのための協奏曲といってよい作品です。2本のオーボエ、2本のホルン、弦楽が交互にソロを演奏します。第2楽章のアダージョではヴァイオリンとオーボエが歌い、ファゴットが入ると全合奏になります。バロック協奏曲の美しさがあります。第3楽章では2本のホルンとファゴットに始まりヴァイオリンのソロがヴィヴァルディの特徴的なリズムをきざみます。このアルバムの最後を飾るにふさわしい名曲です。


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