グリエールのホルン作品

ホルン協奏曲/マルクス・マスクニッティ(2016)
CD(ONDINE ODE1339−2)

ホルンとオーケストラのための作品集
1.シューマン/4つのホルンとオーケストラのため
      コンツェルトシュトゥック Op86
2.シューマン/アダージョとアレグロ Op70
           (アンセルメ編)
3.サン=サーンス/演奏会用小品 Op94
4.グリエール/ホルン協奏曲変ロ長調 Op91

 マルクス・マスクニッティ(ホルン)
 マルティン・シェプファー(ホルン2)(1)
 クリストファー・エーベルイ(ホルン3)(1)
 モニカ・ベレングエル・カーロ(ホルン4)(1)
 サカリ・オラモ指揮
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
 録音 2016年11月10〜12日(1)
     2018年6月11日(2)
     2018年6月12日(3)
     2016年8月25&26日(4)

 マルクス・マスクニッティはフィンランドのホルン奏者でヘルシンキ・アカデミーで学んでいます。
 シューマンの4つのホルンとオーケストラのためのコンツェルトシュトゥックは名曲ですがホルン奏者にとっては難曲でもあります。4人の息の合った演奏は素晴らしいものです。第1楽章冒頭の和音、そして4本のホルンのファンファーレ、何度聴いてもよい響きです。ホールの残響が素晴らしい。4人のホルンの音色は調和がとれていて素晴らしいアンサンブルになっています。第2楽章のロマンツェは4本のホルンが良い響きになっています。第3楽章は緊張感のある演奏で4本のホルンが最高のアンサンブルを奏でながらコンチェルトを吹くところは感動です。トップのハイトーンもよい響きです。
 シューマンの「アダージョとアレグロ」はアンセルメの編曲によるオーケストラ伴奏で演奏しています。少し速めのアダージョですがホルンの演奏は見事なものです。アレグロはよいテンポで進みます。ここはピアノ版とは違ってホルン協奏曲のようにオーケストラと共に作り出す響きが素晴らしいものです。
 サン=サーンスの「演奏会用小品」はホルンとオーケストラのための作品で録音が多いですが、このストックホルムのい演奏はオーケストラの響きもよくホルンの豊かな響きとともによい演奏になっています。中間部のアダージョが特に素晴らしい演奏になっています。コーダの演奏も見事です。
 グリエールの「ホルン協奏曲」は難曲で録音はそれほど多くはない名曲です。息継ぎが難しいのですが、マスクニッティは息の続く素晴らしい演奏家のようです。第1楽章の展開部からは見事な演奏を聴かせてくれます。カデンツァが大変長いもので低音と高音を自在に吹きこなしています。また重音奏法も使う素晴らしいものです。再現部は流麗な演奏を聴かせてくれます。第2楽章のアンダンテはオーボエの導入部のあとにホルンの哀愁的な主題が歌われます。こちらもよい響きです。第3楽章は速いフレーズが続きます。そして森のホルンのようなソロのあとにまた速いフレーズの連続がきます。この作品の一番きついところかもしれません。そこを難なく演奏しています。マスクニッティのホルンには脱帽です。コーダのテンポも速いです。


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