ブリテンのホルン作品

セレナード/平塚 晴樹(1999)
CD(日本フィル 自主制作)

1.メンデルスゾーン/夜想曲
    〜「真夏の夢」組曲より
2.ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
3.チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調より
          第2楽章のホルン・ソロ
4.ブリテン/テノール、ホルンと弦楽のための
         セレナードOp31
5.アニシモフ/ポエム

 平塚 晴樹(ホルン)(1〜5)
 小林 彰英(テノール)(4)
 北原 幸男指揮(1)
 小林研一郎指揮(2&3)
 外山 雄三指揮(4)
 日本フィルハーモニー交響楽団(1〜4)
 木曽真奈美(ピアノ)(5)
 録音1991年3月16日(1)習志野文化ホール
    1993年1月24日(2)サントリーホール
    1999年1月17日(3)東京芸術劇場
    1999年4月16日(4)サントリーホール
    2001年11月2日(5)旧東京音楽学校奏楽

 平塚晴樹は1968年生まれ、東京音楽大学在学中の1990年に日本フィルハーモニーに入団、1993年には首席ホルンに就任、1994年の日本管打楽器コンクールで2位、ホルンを安原正幸氏に師事。2002年に惜しくも33歳の若さで亡くなっています。このアルバムは日本フィルハーモニーが平塚晴樹の演奏を記念アルバムとしてまとめたものです。
 メンデルスゾーンの「夜想曲」は「真夏の夢」組曲の中でもホルンのソロが美しい作品です。平塚がソロを吹いていた演奏でした。大変きれいなホルンです。
 ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」はホルンのソロが使われる名曲です。平塚の素晴らしいホルンが流れます。
 チャイコフスキーの交響曲第5番は第2楽章にホルンの長いソロがあります。ここにはそのソロの部分だけ収録されています。小林研一郎の指揮で演奏するこのチャイコフスキーはまた雄大です。平塚のホルンがロシア風で大変良く響きます。素晴らしい演奏です。
 ブリテンのテノール、ホルンと弦楽のためのセレナードは1943年の作品で、ピーター・ピアーズとデニス・ブレインのために書かれた傑作です。第1曲「プロローグ」と第8曲「エピローグ」はF管の自然倍音で演奏するようになっていますので、平塚はこの2曲だけナチュラルホルンを吹いています。大変流暢な演奏で見事なものです。第2曲「パストラール」は小林彰英の力強い歌唱があります。第3曲「ノクターン」はホルン対旋律を歌います。テノールもきれいです。ミュートのホルンがよく響きます。第4曲「エレジー」はホルンの半音階ロングトーンが続きます。ホルンの軽いビヴラートがきれいです。ハイトーンの美しさは素晴らしいものです。第5曲「ジーグ」はやや速いテンポです。弦楽とテノールには緊張感があります。ホルンも同様です。第6曲「賛歌」は速いテンポで吹くホルンの鮮やかな演奏が素晴らしい。テノールの歌唱も見事なものです。第7曲「ソネット」はテノールと弦楽だけの演奏で穏やかで美しい響きが素晴らしい。第8曲「エピローグ」はステージ裏から「プロローグ」と同じ楽譜で演奏しますが、これは素晴らしい演奏です。平塚の記念碑的な録音になりました。
 アニシモフの「ポエム(詩曲)」は1961年の作品。旧ソビエトの作曲家によるもので雄大な風景を思わせる主題が朗々と吹かれます。中間部には跳躍的なフレーズがあり後半の叙情的なポエムは思わず聞き入ってしまいます。この作品は日本人演奏家が好んで演奏しています。平塚のホルンもまた素晴らしいものです。ビヴラートを使うホルン奏者が少ないだけに惜しいホルン奏者です。


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