ボザのホルン作品

スケルツォ〜木管五重奏のための/ファーガス・マックウィリアム(1991)
CD(BIS BIS-2072)4枚組

四季/木管五重奏のための20世紀作品
CD1「春」 木管合奏のためのフランス近代作品集
1.イベール/3つの小品
2.トマジ/「春」〜木管五重奏と
         アルトサックスのための
3.ミヨー/組曲「ルネ王の暖炉」Op205
4.ケクラン/七重奏曲(1937)
5.フランセ/木管五重奏曲第1番
6.ボザ/スケルツォ〜木管五重奏のための
マンフレッド・プライス (アルト・サキソフォン)(2&4)
ゲルハルト・シュテムプニク (イングリッシュホルン) (4)
 録音1991年10月6〜9日

CD2「夏」〜 夏の音楽
1.バーバー/夏の音楽Op31
2.カーター/木管五重奏曲
3.シューラー/木管五重奏のための組曲
4.マハラ/アメリカ民謡組曲
5.メダリア/南米のベル・エポック
6.ヴィラ=ロボス/ショーロス形式の五重奏曲
7.ピトンベイラ/アジュベテ・ジェペ・アモ・ムバエ
8.メダリア/ブラジル民謡組曲
ナイジェル・ショア(イングリッシュホルン)(6)
 録音1998年4月

CD3「秋」 〜近代ドイツ木管五重奏曲集
1.ヒンデミット/小室内音楽Op24−2
2.ヘンツェ/木管五重奏曲
3.  〃  /5人の管楽奏者のための「秋」
4.ヒンデミット/七重奏曲
 マンフレート・プライス(バス・クラリネット)(4)
 トーマス・クラマー(トランペット)(4)
 録音 1995年9月11〜14日

CD4「冬」 〜冬の歌
1.ブレット・ディーン/冬の歌
        〜テノールと木管五重奏のための
2.トゥール/アルキテクトニクスI
           〜木管五重奏のための
3.ヴァスクス/亡き友に捧ぐ音楽(1982)
4.ペルト/小五重奏曲Op13
5.ニールセン/木管五重奏曲Op43
 ダニエル・ノルマン(テノール)(1)
 録音 2002年4月&10月

 ベルリン・フィルハーモニー木管五重奏団
 ミヒャエル・ハーゼル(フルート)
 アンドレアス・ヴィットマン(オーボエ)
 ワルター・ザイファース(クラリネット)
 ファーガス・マックウィリアム(ホルン)
 ヘニング・トローク(ファゴット)
 
 ベルリン・フィルハーモニー木管五重奏団は1988年に創設されました。ホルンはファーガス・マックウィリアムがメンバーです。このボックスは4枚のアルバムをまとめたものです。
 CD1は「春の音楽」です。
 イベールの「3つの小品」は1930年の作品。木管五重奏の名作で、デニス・ブレインらの演奏で知られています。ベルリン・フィルの緻密な演奏は素晴らしいものです。明るい響きが大変きれいです。
 アンリ・トマジの「春」は木管五重奏とアルトサックスのための作品です。3つの小品で構成されています。第2曲の「愛の歌」、第3曲「鳥の踊り」は明るい響きがきれいです。アルトサックスが入るところはフランスの作品らしいです。
 ミヨーの組曲「ルネ王の暖炉」はは1939年の映画「愛の騎馬行進」から木管五重奏のためにミヨー自身が編曲したものです。7つの小品で構成されています。第1曲「行列」から温かみのある優しい響きが流れます。フルートやホルンがきれいに響きます。第2曲「オーバード(朝の歌)」なども良い響きです。第3曲「軽業師」ではオーボエとホルンの響きがきれいです。第4曲「ラ・マウザングラード」ではオーボエの哀愁的な響きが聴きどころです。第5曲「アルク河での馬上試合」や第6曲「ヴァラブルでの狩」ではホルンの響きが素晴らしい。第7曲「マドリガル・ノクチュルヌ」ではノクターンらしい響きがあります。
 ケクランの七重奏曲は1937年の作品。木管五重奏にアルトサックスとイングリッシュホルン(コールアングレ)が入る七重奏です。6つの楽章で構成されています。第1楽章の「モノディ」はクラリネットの独奏です。穏やか歌をクラリネット1本で歌います。第2楽章の「パストラーレ」はフルートで始まり各楽器に受け継がれる穏やかな楽章です。第3楽章の「間奏曲」は明るい3拍子の曲です。楽しそうに歌います。第4楽章の「フーガ」はオーボエに始まり、コールアングレ、ファゴットとフーガが演奏されます。このフーガは7つの楽器が調和された素晴らしい響きが聴かれます。第5楽章の「静けさ」は穏やかに静かに演奏されます。第6楽章の「フーガ」はホルンに始まって木管に受け継がれていきます。ここにきてようやく20世紀の作品らしい響きで終わります。
 フランセの「木管五重奏曲第1番」は1948年の作品。4つの楽章で構成されています。第1楽章の勢いのある演奏はフランセ独特の響きがあります。第2楽章のプレストは5つの楽器が走るように細かいフレーズを歌います。第3楽章の「主題と変奏曲」はオーボエが歌う主題が提示されますと、第1変奏が軽やかに演奏されます。第2変奏はクラリネットとホルンがしっとりと歌います。第3変奏はフルートが良い響きを奏でます。第4変奏はオーボエが細やかなフレーズを演奏しています。第5変奏はファゴットの重々しい響きで始まります。ソロもあります。そして静かに終わります。第4楽章は「葬送行進曲のテンポで」になります。速いテンポで重厚な低音の響きを出したり高音域を使うなどにぎやかな楽章です。
 ボザの「スケルツォ」は1944年に書かれた短い小品です。木管五重奏のアンコール曲によさそうです。
 CD2は「夏の音楽」です。
 バーバーの「夏の音楽」はは1953年の作品。アメリカのデトロイトの室内楽協会の委嘱作品で、アメリカの管楽作品の名作です。アメリカの夏を表現したようで中間にオーボエが歌う夏の気だるさが印象的です。
 エリオット・カーターの木管五重奏曲は1948年の作、2つの楽章で構成されています。第1楽章ではフルートとホルンの主題が印象的です。第2楽章のアレグロ・ジョコーソは速めのテンポで木管とホルンのにぎやかな対話が聴かれます。
 ガンサー・シューラーの木管五重奏のための組曲は1945年の作。3つの小品で構成されています。第1曲「前奏曲」、第2曲「ブルース」、第3曲「トッカータ」になっています。「ブルース」はアメリカの作曲家らしい小品です。オーボエが歌いますが、後半にホルンがスイングするところが面白いです。
 カジミエシュ・マハラの「アメリカ民謡組曲」は短い小品ですが、聴きなれた歌がどんどん聞こえてきます。
 フリオ・メダリアの「南米のベル・エポック」は3つの曲で構成されています。第1曲の「タンゴ」は楽しくなります。第2曲はワルツのテンポで踊りたくなりそうです。第3曲は「ショーロ」でブラジルのポピュラー音楽のようです。
 ヴィラ=ロボスの「ショーロス形式の五重奏曲」は単一楽章の木管五重奏曲でホルンの代わりにイングリッシュホルンが入ります。ブラジル風の作品です。
 リドゥイーノ・ピトンベイラの「アジュベテ・ジェペ・アモ・ムバエ」は1991年の作品。木管アンサンブルの良い響きが流れます。19世紀作品のようです。3つの部分で構成されています。最後は速いテンポで終わります。
 メダリアの「ブラジル民謡組曲」は4つの小品で構成されています。第1曲は「ショーロ」で楽しそうな歌があります。第2曲は「バイヨン」でこれもブラジルのダンス音楽です。第3曲は「セレスタ」、第4曲は「フレヴォ」いずれも楽しい音楽です。
CD3は「秋の音楽」です。
 ヒンデミットの「小室内音楽Op24−2」は1922年に木管五重奏のために書かれた作品。5つの楽章で構成されています。第1楽章は速いテンポで演奏されています。第2楽章はやや速めのテンポのワルツになります。これは楽しそうに歌っています。第3楽章は穏やかなテンポで良い響きを出しています。第4楽章は速いテンポで木管が歌い、ホルンが朗々と響くところは聴きものです。アタッカで入る第5楽章は重厚な響きが素晴らしいです。
 ヘンツェの「木管五重奏曲」は1952年の作品。3つの楽章で構成されています。第1楽章は序奏、主題と変奏です。快い不協和音を使いながらも聴きごたえのある楽章です。アタッカで入る第2楽章も変奏曲になっています。短い楽章ですぐにアタッカで第3楽章になります。短い変奏とフーガになります。フーガはギャロップになっています。
 ヘンツェの5人の管楽奏者のための「秋」は1977年の作品。5つの楽章で構成されています。第1楽章ではアルト・フルートやオーボエ・ダモーレが使われています。第2楽章のアレグレットではホルンに替えてワーグナーテューバが使われています。第3楽章ではホルンが大活躍します。ホルンの独奏から始まります。第4楽章はテンポ変化のある楽章で、ピッコロ、バスクラリネットやコントラファゴットが使われますので重厚な響きになります。第5楽章は穏やかなテンポで始まります。オーボエが歌います。この作品は楽器の持ち替えをしながら5人の奏者が演奏するものです。
 ヒンデミットの「七重奏曲」は1948年の作品。木管五重奏にバスクラリネットとトランペットが入る七重奏です。5つの楽章で構成されています。第1楽章の「生き生きと」は木管楽器とホルンにトランペットが入りますのでにぎやかな響きになります。第2楽章の「間奏曲」はホルンで始まる穏やかな楽章です。ホルンが朗々と演奏しています。第3楽章のヴァリエーションはトランペットが入ってきます。後半にはホルンが活躍します。第4楽章は短い間奏曲です。フルートのソロに始まります。全合奏は厚い響きになります。第5楽章は全合奏による演奏で行進曲のようです。
 CD4は「冬の歌」です。
 ブレット・ディーンの「冬の歌」はテノールと木管五重奏のための作品で、1994年に書かれ2000年に改訂されています。3つの楽章で構成され、第1楽章は序奏が静かで長いです。5分ほど過ぎてにぎやかになってテノールの独唱が入ります。力の入る歌唱です。第2楽章は冬を歌うところです。ホルンとファゴットが低い音を響かせています。テノールの歌唱はここも力が入ります。後半は木管五重奏にも力が入ります。ホルンのグリッサンドが響きます。第3楽章は穏やかな音楽と歌唱に始まります。中間部に盛り上がりがあって静かに終わります。
 トゥールの「アルキテクトニクスI」は木管五重奏のための作品。1984年に書かれた小品です。オーボエの語り掛けに他の楽器が応答するという楽しい小品です。
 ヴァスクスの「亡き友に捧ぐ音楽」は木管五重奏のための作品で、1982に書かれています。9分余りの作品で葬送音楽の部分、細やかなにぎやかな部分があります。
 アルヴォ・ペルトの「小五重奏曲」は1964年に書かれた3つの小品です。第1曲は過激な「シュネール」、第2曲はにぎやかな「ラングサム」、第3曲は穏やかに始まる「適度の速さ」です。面白い小品です。
 カール・ニールセンの「木管五重奏曲Op43」は木管五重奏の名曲です。3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・ベン・モデラート」はホルンの哀愁的な主題が冒頭から歌われます。木管の華麗な響きとホルンの深い響きが北欧の音楽らしいです。マックウィリアムのホルンが大変きれいに響きます。
この作品は大変雄大さを感じさせるもので、小さなシンフォニーのようです。第2楽章「メヌエット」は木管が良い響きを出しています。第3楽章は前奏のアダージョに続いて主題と11の変奏になります。変化に富んだ変奏は面白いです。ホルンの変奏は独奏ホルンで大変華やかに演奏されます。この演奏はさすがに素晴らしいアンサンブルです。
 このアルバムは木管五重奏のための20世紀作品として多彩なプログラムで、名演奏によるものとして推奨したいと思います。


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