プーランク/エレジー

アドリアン・ディアス・マルティネス(2018)
CD(ES-DUR ES 2075)

「アヴァン・ギャルド」
ホルンとピアノのための20世紀作品集
1.ボウエン/ホルン・ソナタ変ホ長調Op101
2.プーランク/エレジー
        〜デニス・ブレインの思い出に
3.クーツィール/ホルンとピアノのための
                 変奏曲Op59−3
4.ノイリンク/バガテル〜ホルンとピアノのための
5.ヴィネリ/ホルン・ソナタOp7

 アドリアン・ディアス・マルティネス(ホルン)
 小田井 郁子(ピアノ)
 録音 2018年4月17〜20日

 アドリアン・ディアス・マルティネスはスペイン出身でドイツのNDRエルプ・フィルハーモニーのホルン奏者です。「アヴァン・ギャルド」な作品を録音したかったそうです。
 ヨーク・ボウエン(1884〜1961)の「ホルン・ソナタ変ホ長調」は1937年の作でオーブリー・ブレインのために書かれました。3つの楽章で構成され第1楽章:モデラート・エスプレシーヴォ、第2楽章:ポコ・レント・マエストーソ、第3楽章:アレグロ・コン・スピリットとなっています。情熱的な第1楽章、抒情的な第2楽章、軽快で技巧的な第3楽章とブレインが好むような作品です。マルティネスのホルンは安定した演奏で良い響きです。
 プーランクの「エレジー〜デニス・ブレインの思い出に」は名曲で、1957年に事故死した名ホルン奏者デニス・ブレインを偲んで作曲されました。冒頭にブレインの激しい動きの主題、そして衝突を思わせるグリッサンドがあります。あとは哀歌としての長い葬送の音楽になります。マルティネスのホルンはよい響きです。
 クーツィールのホルンとピアノのための変奏曲は1986年の作品です。下吹きホルンのための作品で低音を多く使います。作品はミヒャエル・ヘルツェルに献呈されています。マルティネスの演奏は見事なものです。
 ノイリンクのバガテルは低音が多く、いわゆる下吹きホルンのための作品です。マルティネスはNDRエルプ・フィルハーモニーでは下吹きのホルン奏者ですからお得意の作品でしょう。低音のよく響く素晴らしい演奏です。
 ジェーン・ヴィネリはベルギー出身の作曲家、ホルン・ソナタは1943年の作品です。3つの楽章で構成されていて、第1楽章アレグロから大変元気の良いホルンが響きます。現代作品とは思えない美しさがあります。第2楽章のレント・マ・ノン・トロッポはゆったりとした主題が歌われます。ピアノの響きもきれいです。第3楽章:アレグロ・ベン・モデラートは軽快なホルンときらめくピアノが素晴らしい演奏です。よいコンビによる名演奏です。


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