ブリテンのホルン作品

セレナード/ヴァレリー・ポレフ(1965)
CD(VISTA VERA VVCD−00215)ロシア盤

1.モーツァルト/ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
2.   〃  /ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
3.ブリテン/テノール、ホルンと弦楽の為のセレナード
       〜第1曲、第4〜第8曲(ロシア語訳)
4.ストラデラ/アリア(ザボロフ編)
5.チャイコフスキー/感傷的なワルツ(ザボロフ編)
6.グラズノフ/夢(ザボロフ編)
  ヴァレリー・ポレフ(ホルン)(1〜6)
  イヴァン・コズロフスキー(テノール)(3)
  ボリス・ハイキン指揮
   ボリショイ劇場管弦楽団(1&2)
  ユーリ・レイントヴィッチ指揮
   ボリショイ劇場ヴァイオリン・アンサンブル(4)
  アレクセイ・ジブツェフ(ピアノ)(5&6)
  指揮者及びオーケストラ不詳(3)
   1963年ステレオ録音(1&2)
   1965年モノラル録音(3)
   1960年代ステレオ録音(4)  
   1960年代モノラル録音(5&6)

 ヴァレリー・ポレフは1918年生まれのロシアのホルン奏者です。グリエールのホルン協奏曲の初演者として知られているだけで、ソロ録音は初登場と思われます。ロシアの伝説的なホルン奏者といえばヤコフ・シャピロとヴィタリー・ブヤノフスキーが有名ですが、もうひとりの伝説的なホルン奏者がヴァレリー・ポレフでしょう。このCDを聞いてその優秀な腕を知りました。
 モーツァルトのホルン協奏曲が2曲ステレオ録音で残っているのは嬉しいことです。演奏は明るく軽いビヴラートのかかったロシアのホルンらしい音色です。レガートのきれいな演奏で気持ちよいものです。ロンドもご機嫌な演奏です。テンポの変化をみせるのはこの時代としても珍しいです。第4番は注目すべき演奏です。第1楽章の展開部でペーター・ダムが1974年に録音した演奏と同じフレーズが出てきます。前後はダムと同じ楽譜ではありませんがここは驚きます。ホルンのテクニックは素晴らしく、カデンツァも長いです。ロンドの滑らかな演奏も聞き物です。
 ブリテンのセレナードがあったとは驚きです。テープの保存状態が悪く、第2曲:パストラールと第3曲:夜想曲が収録されていないのが残念ですが、それでも大変貴重な演奏です。かなり自由な演奏でテンポの変化、ルバートなど今では聞かれない表現があります。プロローグは完璧ですがヴァルブ使用で自然倍音だけで吹いていません。第4曲:エレジーはホルンの明るい響きが素晴らしいです。音量も豊かです。第6曲:賛歌では途中でテンポを落とすなど面白い演出があります。テノールの歌唱がブヤノフスキーと同じロシア語で印象が異なります。
 ストラデラのアリアはザボロフによる編曲でヴァイオリンアンサンブルとハープそしてピアノが入るようです。哀愁的なメロディーが流れる曲です。チャイコフスキーの感傷的なワルツはホルンで吹くのは珍しいでしょう。ポレフの明るいホルンで聞くとセンチメンタルともいえないような気がしますが大変素晴らしい演奏です(一部音揺れはありますが)。グラズノフの「夢」を明るいホルンで聞くというのもいいものです。ビヴラートは華美にならない程度であり、ロシアのホルンらしい名演です。録音はきれいです。


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