モーツァルト/ホルン協奏曲全集

ウィリアム・ヴァー・ミューレン(1993)
CD(IMP MASTERS MCD 85)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495

  ウィリアム・ヴァー・ミューレン(ホルン)
  クリストフ・エッシェンバッハ指揮
    ヒューストン交響楽団
   録音 1993年7月12〜16日

 ミュ−レンはヒューストン交響楽団の首席ホルン奏者です。明るくきれいな響きのホルンです。イントネーションが巧みです。モーツァルトに欲しい歌心が十分であり、楽しい演奏になっています。3番4番は絶品です。
 ミューレンは1番の第2楽章で最後にカデンツァを挿入しています。楽譜がジェスマイアー版なので珍しいです。2番でもロンドに短いカデンツァを挿入しています。
 3番ではそのホルンが大変きれいであり、まるでデニス・ブレインが吹いているかのような演奏です。第1楽章展開部では強弱をつけて演奏効果をあげています。自作のカデンツァが素晴らしいもので音域を十分に使っており見事でした。第2楽章のロマンツェがロマンティックな演奏になっているのはエッシェンバッハの指揮だからこそでしょう。
 4番がこれほど生き生きとした演奏になっているのもバックのオーケストラがきれいなせいでしょう。エッシェンバッハの深く掘り起こした解釈が弦楽器から新しい響きを引き出しています。のびやかなホルンがこのモーツァルトをさらに楽しいものにしています。自作のカデンツァはここでもそのテクニックを披露した見事なものです。楽しそうに吹いてくれます。聴きなれたはずの第2楽章:ロマンスがさらにロマンティックなものになっています。思わず聞き入ってしまいます。第3楽:ロンドが大変楽しく聞こえます。即興を取り入れています。コーダでテンポをぐっと落としてテンポアップするところはにくいところです。生演奏だったら大喝采を浴びることでしょう。この4番をこれほど楽しい曲にしてくれて感謝したいです。
 これはミューレンとエッシェンバッハによるモーツァルトのホルン協奏曲の傑作といって良いでしょう。


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