ブラームス/ホルン三重奏曲

ヨーゼフ・イーガー(1959)
CD(RCA SICC1965〜6)

ヘンリク・シェリング/協奏曲集
1.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
2.  〃   /ホルン三重奏曲変ホ長調
3.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
4.ラロ/スペイン交響曲ニ短調

  ヘンリク・シェリング(ヴァイオリン)(1〜4)
  ヨーゼフ・イーガー(ホルン)(2)
  ヴィクター・バビン(ピアノ)(2)  
  ピエール・モントゥー指揮ロンドン交響楽団(1)
  シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(3)
  ワルター・ヘンドル指揮シカゴ交響楽団(4)
  録音 1958年6月18〜20日(1)
      1959年3月13&14日(2)
      1959年2月9日(3)
      1959年2月28日(4)

 ヘンリク・シェリングはブラームスの協奏曲を度々演奏していました。録音も多いですが、この最初のスタジオ録音はモントゥーのサポートを得て流麗で力強い演奏を聴かせます。カデンツァはヨアヒムのものを生涯弾いていますが、ここでも見事な演奏でした。第2楽章の哀愁的なメロディは絶品。
 ホルン三重奏曲はステレオ初期の録音で、この時期にはアメリカでジョン・バロウズやマイロン・ブルームも録音していました。ヨーゼフ・イーガーはアメリカのホルン奏者と思われますが、経歴は不明です。音色はアメリカのホルン奏者らしい音でした。演奏は確かなものですが、個性のあるものではなく、アンサンブルとしてのホルンの位置づけをしっかりとしたものです。甘い音色のホルンはメイソン・ジョーンズのようで、ブラームスの作品がよりロマンティックに響きます。シェリングのヴァイオリンが主導権を握っているようですがピアノの響きの良さとホルンの掛け合いが見事です。第2楽章のアレグロは聴きどころでしょう。フィナーレも同様でホルンの楽しそうな響きがあります。
 シェリングのチャイコフスキーは40歳の時の録音でした。ミュンシュのサポートも素晴らしく、第3楽章では重厚なオーケストラの後にシェリングの繊細なヴァイオリンが歌われます。
 ラロのスペイン交響曲はサラサーテに献呈された名曲ですが、第3楽章:間奏曲のカットが慣習だった当時にあって5つの楽章全曲の録音をしています。第5楽章冒頭の同じフレーズの連続はこの曲の面白いところですがシェリングの鮮やかな演奏は色褪せることなく輝くものです。


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