サン=サーンス/ホルン作品

ロマンスOp36&Op67/ペーター・ダム(1985)


CD1(Shallplatten 2100137)
CD2(BERLIN Classics 0093922BC)
CD3(Shallplatten KICC−3699)

ホルンとピアノのための音楽
 1.ジャン・フランセ/ディヴェルティメント
 2.サン=サーンス/ロマンスOp67
 3.ビュッセル/聖フーベルトの狩り
 4.グノー/ピストン・ホルンのための
      6つのメロディーより第5番
 5.グノー/ピストン・ホルンのための
      6つのメロディーより第3番
 6.ボザ/山の頂で
 7.デュカス/ヴィラネル
 8.ダマーズ/パヴァーヌ・ヴァリエ
 9.サン=サーンス/ロマンスOp36
10.ポー/伝説
11.ロッシーニ/前奏曲、主題と変奏

  ペーター・ダム(ホルン)
  ペーター・レーゼル(ピアノ)
  録音 1985年9月30日〜10月12日

 このアルバムはダムの初めての小品集でした。フランスのホルン奏者がピストンホルンを使わなくなって個性が乏しくなりましたが、ダムの明るいホルンはフランスのホルン作品によく合います。
 ジャン・フランセの「ディヴェルティメント」は3つの楽章で構成されています。ダムが初めて録音しており、いまやホルンの定番になっています。第1曲:序奏は跳躍するような主題が楽しそうです。第2曲:アリア・ディ・カンタービレの優雅な演奏はダムのホルンの美しさがあります。第3曲:カンツォネッタの難しいフレーズを軽快に演奏するところが素晴らしい。
 サン=サーンスのロマンスが2曲収録されています。作品67のロマンスはチェロの作品からの編曲ですが、ダムの演奏は力強く響くところが素晴らしく。穏やかな部分との違いはみごとです。作品36のロマンスはオーケストラ伴奏もありますが、ピアノ伴奏はホルンの表現力の豊かさが試されるだけに難しい作品です。ダムの演奏は完璧で明るい響きのホルンで軽いビヴラートがフランス的です。
 アンリ・ビュッセルの「聖フーベルトの狩り」はその中にボザの「森にて」に出てくる主題が聞かれますので面白いです。ダムのホルンがホール一杯に響きます。録音は少なく他にエルドン・マトリックが録音しています。
 グノーのホルン作品「ピストン・ホルンのための6つのメロディー」から第3番と5番が演奏されています。第5番「アンダンテ・カンタービレ」はなんともいえない情感ゆたかなメロディが流れます。第3番「アンダンテ」は民謡風の美しいメロディがきれいです。
 ボザの作品は「森にて」が有名でたくさんの録音がありますが、「山の頂で」はこの録音当時ダムの録音くらいしかみあたりませんでした。21世紀になってようやく録音されるようになりました。ボザらしいホルンの主題が流れます。高音域から低音域まで使いながら「頂上」から見る景色を表現したものでしょう。
 デュカスの「ヴィラネル」は伸びやかな序奏のホルンが実に素晴らしい響きです。前半のホルンの明るさは絶品です。後半の技巧的な部分は見事です。
 ダマーズの「パヴァーヌ・ヴァリエ」は愛らしい主題がたまりません。ホルンでこれほど美しく吹ける人は他にいるのでしょうか。なにげなく聞いていても惹きこまれてしまいます。
 マルセル・ポー(1901〜1988)の「伝説」は1958年の作品、穏やかな部分と速いフレーズの部分があって魅力的な作品です。ダムが初めて録音していました。
 ロッシーニの「前奏曲、主題と変奏」はホルンの定番曲ですが変奏曲の演奏が難しい難曲です。ダムの演奏は「前奏曲」の美しさが聞き所です。主題と変奏の鮮やかな演奏はさすがに見事です。名演は多いですがこのダム先生の演奏もまた文句なしの名演です。
 ダムの明るくまろやかな音は心が洗われます。これも愛聴したいCDといえましょう。CD3は2015年発売のKING国内盤。


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