ボザのホルン作品

森にて/ロベルト・ミエーレ(2019)
CD(DA VINCI CLASSICS C00320)

フランスの角笛の音
1.フォーレ/ソプラノ、ホルンとピアノのための
            「タランテラ」Op10−2
2.フォーレ/「川のほとりで」Op8−1
3.サン=サーンス/ロマンスOp.36
4.    〃    /歌曲「死の舞踏」
5.フォーレ/ソプラノ、ホルンとピアノのための
          「黄金の涙」Op72
6.サン=サーンス/演奏会用小品 Op94
7.マスネ/ソプラノ、ホルンとピアノための
               「閉じた眼」
8.アーン/「彼女の館に捕われた時」
9. 〃  /「タンダリス」
10.デュカス/ホルンとピアノのためのヴィラネル
11.ベルリオーズ/ソプラノ、ホルンとピアノのための
          「ブルターニュ人の若い牧童」H.65
12.フォーレ/「月の光」Op.46ー2
13.マスネ/ソプラノ、ホルンとピアノのための
  「神聖な愛」
14.ボザ/「森にて」Op40
15.フォーレ/ソプラノとピアノのための「夢のあとに」
16.ベルリオーズ/ソプラノ、ホルンとピアノのための
              「激しい炎のような愛は」

 トリオ・モルゲン
 バルバラ・コスタ(ソプラノ)
   (1、2、4、5、7〜9、11〜13、15&16)
 ロベルト・ミエーレ(ホルン)
   (1、3、5〜7、10、11、13、14&16)
 エマヌエレ・デルッキ(ピアノ)(1〜16)
 録音 2019年12月21〜23日
 イタリア、カプリオーロ、オミクロン・スタジオ

 ソプラノ、ホルン、ピアノの編成によるトリオ・モルゲンはイタリアのアンサンブルです。フランスの作品を演奏しています。ホルンのロベルト・ミエーレ(1978〜)はイタリアのホルン奏者。ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、フィレンツェ五月祭管弦楽団などへの参加を経て、現在はミラノ・スカラ座管弦楽団で活躍しています。
 フォーレのソプラノ、ホルンとピアノのための「タランテラ」は忙しく歌うタランテラです。ソプラノと共にホルンも忙しく歌います。これは名演奏です。ホルンは滑らかに細やかな主題をソプラノと共に歌います。
 フォーレのソプラノとピアノのための「川のほとりで」はソプラノ独唱です。穏やかに流れるような小川のほとりで穏やかに歌います。
 サン=サーンスのホルンとピアノのためのロマンスはホルンの名曲ロマンスです。オーケストラ版もありますが、ピアノ伴奏で多くの録音があります。ミエーレのホルンは美しい響きのロマンスを歌います。ピアノの響きもきれいです。
 サン=サーンスのソプラノとピアノのための「死の舞踏」は交響詩「死の舞踏」の2年前にカザリスの詩をもとに歌曲として書かれた作品です。あの主題をソプラノが歌います。これもまた名曲です。そして2年後、サンサーンスはこれを交響詩として作曲しました。
 フォーレのソプラノ、ホルンとピアノのための「黄金の涙」は哀愁的な歌をソプラノが歌い、ホルンが応答するように哀愁的な響きで歌います。これは美しい作品です。
 サン=サーンスのホルンとピアノのための演奏会用小品はオーケストラ版もありますが、ピアノ版はホルンがたっぷり聴けます。この作品は難曲ですからテクニックを要するのですがミエーレのホルンは実に素晴らしい演奏です。ピアノも聴かせどころが多いです。中間部のゆったりしたホルンの主題はきれいです。後半の細やかな主題も滑らかで素晴らしい演奏です。
 マスネのソプラノ、ホルンとピアノための「閉じた眼」は名曲です。録音が多いのはシューベルトの「流れの上で」と同様にホルンとピアノが伴奏するためかと思われます。この作品でもホルンの存在感は大きいです。
 アーンのソプラノとピアノのための「彼女の館に捕われた時」と「タンダリス」はソプラノ独唱です。美しいソプラノです。
 デュカスの「ホルンとピアノのためのヴィラネル」はホルンの定番作品です。前半を自然倍音で演奏するのが指定ですが、ミエーレは自然倍音で見事に演奏しています。ピアノも見事な演奏でホルンと共に素晴らしい演奏を繰り広げます。後半もミュートを使う部分は良い響きで、終結の鮮やかなタンギングも素晴らしい演奏です。
 ベルリオーズのソプラノ、ホルンとピアノのための「ブルターニュ人の若い牧童」はソプラノ歌唱が素晴らしいです。やがてホルンが対話するように歌います。ベルリオーズの声楽作品としてもよくできた作品です。
 フォーレのソプラノとピアノのための「月の光」はバルバラ・コスタの素晴らしいソプラノ独唱が聴かれます。
 マスネのソプラノ、ホルンとピアノのための「神聖な愛」はサザーランドの以来の録音と思われます。素晴らしい歌唱です。ミエーレのホルンがタックウェルのホルンのような響きに聞こえるのが不思議です。実に素晴らしい演奏です。
 ボザのホルンとピアノのための「森にて」はデュカスのヴィラネル同様ホルンの定番作品です。雄大な響きを聞かせる名曲です。ミエーレのホルンはまさに森の中でホルンを吹くかのように堂々とした演奏です。中間部の朗々としたホルンの美しさ、後半の見事なホルンのテクニックと見事な演奏です。
 フォーレのソプラノとピアノのための「夢のあとに」は名曲です。ヴァイオリンやチェロでも演奏されますが、原曲は歌曲集「3つの歌」の第1曲です。ソプラノ独唱で聴いても素晴らしい作品です。
 ベルリオーズのソプラノ、ホルンとピアノのための「激しい炎のような愛は」は「ファウストの劫罰」の中の1曲です。ソプラノ独唱の中にホルンが入るというもので、素晴らしい響きがあります。ソプラノとホルンが二重奏になると大変よい響きになります。


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